会頭就任のご挨拶
~夢ある和歌山の創造に向けて~
去る11月4日の「臨時議員総会」におきまして、和歌山商工会議所会頭に再任され、その責任の重さに、改めて身の引き締まる思いをいたしております。- 勝本前会頭より大変重いバトンを引き継ぎ、会頭に就任したのは令和4年11月1日でした。
- 当時は、新型コロナウィルスの発生から既に三年が経とうとしていましたが、「第八波」の到来により全国で24万人を超える感染者が出た日もありました。また、世界的な資源・エネルギー価格の高騰や諸外国による金融の引き締めなどにより景気後退が懸念される状況にあり、企業経営においてはそれらの環境変化への対応に大変苦慮する最中にありました。
- そうした中、会頭として私が掲げたスローガンは「変革と創造へのサポート」でした。
- まず、重点を置いたのは、中小企業・小規模事業者の自己変革への挑戦を後押しすることです。
コロナ禍における政府の支援策に支えられた回復から、自立的な回復へと移行できるよう自己変革を目指す事業所に対して、補助金の申請支援や新たなビジネスモデルの構築に向けて、きめ細やかなサポートを行ないました。
- 首都圏で開催される商談会やオンライン商談会への出展支援の他、地元大型商業施設との出店商談会の開催、越境ECモールとの提携による海外展開事業など、新たな販路開拓支援にも取り組んでまいりました。生産性向上を図るための「デジタル化支援」については、専門家派遣により情報リテラシーの底上げを図るとともに、新しい時代を切り拓くDX企業を輩出する「DX経営塾」やGoogleや生成AI活用セミナーなど、IT人材の育成にも取り組みました。「人手不足」への対策の一環として、令和5年度から、進学希望の高校生を対象に、将来和歌山への就職につなげるための「和歌山が世界に誇るものづくり企業見学会」を開催しました。また、在大阪ベトナム総領事館や和歌山県などと協力し、「ベトナム人材受け入れに関する交流会」も行いました。日本商工会議所をはじめ、他府県の商工会議所とのネットワークづくりにも取り組み、各地で開催されるトップ懇談会などに積極的に参加し、日本商工会議所の小林会頭、大阪商工会議所の鳥井会頭をはじめとする各地の会頭とネットワークを築くことができました。
- そして、本年、大盛況のうちに閉幕した「大阪・関西万博」です。
- 和歌山県知事とともに国際博覧会和歌山推進協議会の共同代表を務め、啓発活動やシンポジウム、500日前・100日前イベントの開催など、県内各地において機運醸成に取り組んでまいりました。また、当会議所としましては、会員事業所に対する独自の補助制度による入場チケットの販売や役員・会員事業所を対象にした万博視察ツアー、「和歌山WEEK」への出展など、万博の成功と効果の県内波及のために会議所を挙げて取り組んでまいりました。1970年の大阪万博の夢の技術の多くが実用化されたように、今回の万博においても、空飛ぶクルマやIPS細胞から作られた心筋シートなど、多くの夢が実現する「いのち輝く未来」を予感させてくれました。また、和歌山市によると、本年4月から8月にかけての市内宿泊客数は対前年同月比約9%増加、その内、外国人宿泊客数は約65%増加しており、万博開催による関西圏の観光需要の高まりが和歌山にも良い影響を及ぼしていることを表す結果となりました。
- 大変大きな決断になりましたが、長年、懸案であった会議所庁舎の耐震・老朽化の問題です。
- 現在の庁舎は昭和44年に竣工し56年を経過することから、新庁舎整備検討委員会を設け、新たな庁舎の在り方について検討を進めてまいりましたが、全国各地で自然災害が頻発する昨今、災害が発生してからでは遅い、まずは利用者の安全を守ることが最優先であるということ、そして災害発生時には、いち早く地域経済復興の拠点として、その機能を果たす責務があることを踏まえた結果、早急に仮移転することを決断いたしました。議員総会でのご了承を得て、来年4月にダイワロイネットホテル和歌山に移転する予定で、現在、その準備を進めております。引き続き、ご協力をお願い申し上げます。
- コロナや歴史的円安といった激動の中で会頭に就任し、役員・議員・会員の皆様の御理解と御力添えをいただきながら、果敢に挑戦する事業所を後押しすることに力を注いだ三年間であったと思います。
- さて、新たな三年がスタートします。
- 私が掲げる二期目のスローガンは「夢ある和歌山の創造に向けて ~変革と創造へのサポート~」です。
- 夢ある和歌山の創造とは、企業の魅力・地域の魅力を高めることにより、将来を担う子どもたちが和歌山を愛し、これからもずっと住み続けたいと思える夢のあるまちを創っていくことです。それに向けた自己変革への挑戦の後押しに一層力を入れてまいります。
- 企業を取り巻く環境は、不安定な国際情勢や物価・人件費の高騰、そして人口減少による国内市場の縮小など、かつてないほど課題が山積しています。また、DX、脱炭素化、BCPなど、企業に課せられる使命も年々多様化しています。それらは全て個々の企業の自助努力だけで乗り越えていけるものではなく、国が、県・市が、そして我々商工会議所が、それぞれの立場で限りない可能性に向けて挑戦していかなければなりません。政府が取りまとめた「骨太の方針2025」の中で、重点ポイントのひとつに「賃上げの継続」が位置づけられています。賃上げこそが成長戦略の要であるとし、今後五年間で、年1%程度の実質賃金上昇を定着させるため、「賃金向上推進五か年計画」という施策パッケージが目玉のひとつになっています。この計画の中に五年間で60兆円の官民による生産性向上投資とともに、商工会議所や金融機関など全国的なサポート体制の構築が盛り込まれています。
- 当所としても、今後、事業者の皆様が継続的な賃金の向上を実施し、成長型経済の実現が図られるよう「デジタル化による生産性の向上」、「価格転嫁・取引適正化の推進」、重要な課題である「事業承継・M&A」、その他「災害対応」や「脱炭素社会の実現」など、様々な環境変化に対応しながら持続可能な事業活動を展開していけるようしっかりとサポートしてまいりたいと思います。地方都市和歌山にとっての最大の課題は、やはり人手不足です。企業経営においては、DXや外国人材を活用していくことはもちろん重要なことです。それ以上に人口が減少すれば、地域の活力が失われ企業活動も頭打ちとなり、負のスパイラルから抜け出すことが困難になります。自社の企業活動に加えて、これからの若い人たちにバトンをつないでいけるよう、夢のある和歌山を築いていくことが、今を生きる私たちの責務ではないかと考えます。
- 私は会頭就任以来、ものづくり企業見学会やわかやま商工まつりなど、地域の若者や子どもたちとの関わりを大事にしてきました。自分たちの住む和歌山を知ってもらいたい、そして愛着をもって将来の和歌山を築いていってもらいたいとの想いからです。我々商工会議所といたしましても、若者の県外流出を少しでも減らしていけるよう夢のある和歌山の創造に向け取り組むことにより、ひいては経済活動、企業活動にも大きな効果を生み出せるよう努めてまいります。
- 「夢ある和歌山の創造に向けて ~変革と創造へのサポート~」。
- このスローガンのもと、新たな三年間を全力で取り組んでまいりたいと考えております。引き続き、皆様方のご支援・ご協力をお願い申し上げ、会頭就任のご挨拶といたします。
令和7年11月4日
和歌山商工会議所
会頭 竹田 純久